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科目別憲法民法刑法
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憲法憲法前文第3段は,他国との共存の必要性・政治道徳の普遍性を謳い,主権国家として国際協調主義の立場に立つことを定めており,このことは憲法本文で具体化されている。憲法この問題の模試受験生正解率 75.8%結果正解解説憲法前文第3段では,他国との共存の必要性と政治道徳の普遍性を謳い,主権国家として国際協調主義の立場に立つことを定めている。そして,国際協調主義は同98条2項によって具体化されている。よって,本記述は正しい。参考佐藤幸(日本国憲法論)87頁。
新・コンメ憲法25頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,債権者代位権を行使するためには,保存行為の場合を除き,債権者代位権を行使する時点で被保全債権の弁済期が到来している必要があるが,詐害行為取消権を行使するためには,詐害行為の時点で被保全債権の弁済期が到来している必要はない。民法この問題の模試受験生正解率 45.7%結果正解解説債権者は,保存行為を除き,自己の債権(被保全債権)の期限が到来しない間は,債務者に属する権利を行使することができない(民法423条2項)。すなわち,原則として,債権者代位権を行使する時点で,被保全債権の弁済期が到来している必要がある。一方,判例は,債務者の財産が一般債権者の共同担保であり,詐害行為取消権は債権者が債務者の財産に対して有するその担保の利益が害されるのを防止することを目的とするから,被保全債権の弁済期がいまだ到来していない場合においても,弁済の資力に乏しい債務者がその所有する財産を処分するときは,被保全債権の弁済期が既に到来している場合と同様に債権者に不利益が及ぶことを理由に,詐害行為当時に被保全債権の弁済期が到来していなくても,債権者は,詐害行為取消権を行使することができるとしている(大判大9.12.27)。よって,本記述は正しい。参考内田Ⅲ338頁,364頁。
潮見(プラクティス債総)182~183頁,226頁。
中田(債総)249頁,285~286頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,外国人甲は,某外国において日本人Vから財物を窃取した。この場合,甲の行為について刑法(窃盗罪)が適用される。刑法この問題の模試受験生正解率 64.1%結果正解解説日本国外において日本国民を被害者とする一定の重大な罪を犯した者には,その者が日本国民でなくても,刑法が適用される(刑法3条の2)。もっとも,これらの罪には,窃盗罪(同235条)は含まれていない(同3条の2各号参照)。したがって,甲の行為について刑法は適用されない。よって,本記述は誤りである。参考大塚ほか(基本刑法Ⅰ)465頁。
条解刑法8~9頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,憲法第39条前段にいう「実行の時に適法であつた行為」には,行為当時の最高裁判所の判例の示す法解釈に従えば無罪となるべき行為が含まれるから,当該行為をした被告人を処罰することは,同条に違反する。憲法この問題の模試受験生正解率 82.9%結果正解解説判例は,行為当時は最高裁判所の判例上適法とされた行為について,判例変更をして処罰をすることが憲法39条前段に違反するかが争われた事例において,「行為当時の最高裁判所の判例の示す法解釈に従えば無罪となるべき行為を処罰することが憲法39条に違反する旨をいう点は,そのような行為であっても,これを処罰することが憲法の右規定に違反しない」としている(最判平8.11.18 平8重判刑法2事件)。よって,本記述は誤りである。参考長谷部(憲法)275頁。
市川(憲法)207~208頁。
新基本法コメ(憲法)287頁。 -
民法甲土地の所有者Aが隣接するB所有の乙土地を通行する権利(以下「本件通行権」という。)を有している場合に関して,本件通行権が通行地役権に当たる場合,Aは,乙土地に通路を開設することができるが,本件通行権が囲繞地通行権に当たる場合,Aは,乙土地に通路を開設することはできない。
なお,袋地とは,他人の土地に囲まれて公道に通じない土地を,囲繞地とは,袋地を囲んでいる土地をいい,囲繞地通行権とは,公道に至るための他の土地の通行権をいう。民法この問題の模試受験生正解率 64.1%結果正解解説地役権は,承役地を要役地の便益に供する目的で設定されるものであるから,地役権者は,地役権の内容を実現するのに必要な付随行為をすることができる。この付随行為は,地役権の内容によって異なるが,通行地役権の場合,通行に必要な通路を開設することが挙げられる。また,囲繞地通行権者も,必要な場合には通路を開設することができる。したがって,本件通行権が囲繞地通行権に当たる場合,Aは,乙土地に通路を開設することはできないとする点において,本記述は誤っている。よって,本記述は誤りである。参考新版注釈民法(7)338頁,947頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,所持金を全く有していなかったため,当初から運賃を支払うことなくタクシーで目的地へ行こうと考え,乙の運転するタクシーに乗車するやいなや,乙の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えた上で,行き先を告げ,乙の意に反してタクシーを目的地まで走行させた後,運賃を支払うことなく逃走した。この場合,甲には強盗利得罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 63.7%結果正解解説刑法236条2項の強盗利得罪の客体である「財産上……の利益」とは,同条1項の財物以外の全ての財産上の利益をいい,そこには財産的価値のある役務(輸送サービス等)の提供が含まれる。そして,相手の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加えた結果,相手方が事実上債務の弁済請求ができない状態に陥った場合には,強盗利得罪が成立する(最判昭32.9.13等)。本記述において,甲はタクシーの運転手である乙に対し,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて,目的地まで走行させた後,運賃を支払うことなく逃走している。したがって,甲には強盗利得罪が成立する。よって,本記述は正しい。参考アクチュアル刑法(各)188頁。
条解刑法759~760頁。
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憲法天皇は,内閣の助言と承認により,国民のために,大赦・特赦・減刑・刑の執行の免除及び復権を決定する。憲法この問題の模試受験生正解率 50.0%結果正解解説天皇は,内閣の助言と承認により,国民のために,「大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権を認証する」(憲法7条6号)。これら恩赦の決定は,内閣の権能である(同73条7号)。よって,本記述は誤りである。参考佐藤幸(日本国憲法論)545頁,566頁。
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民法判例の趣旨に照らした場合,Aが所有する甲土地にBのための第一順位の抵当権が設定され,その後,甲土地上にA所有の乙建物が建てられ,さらに,甲土地にCのための第二順位の抵当権が設定された後,Cの申立てに基づいて抵当権が実行された結果,Dが甲土地の所有者になった場合,甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。民法この問題の模試受験生正解率 58.5%結果正解解説民法388条前段は,「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において,その土地又は建物につき抵当権が設定され,その実行により所有者を異にするに至ったときは,その建物について,地上権が設定されたものとみなす。」と規定する(法定地上権)。そこで,同条から,法定地上権の成立要件としては,①抵当権設定時に土地の上に建物が存在すること,②その土地と建物とが同一の所有者に属すること(以下「同一所有者要件」という。),③土地又は建物に抵当権が設定されたこと,及び,④競売の結果,土地と建物とが異なる所有者に属するに至ったことが必要である。
判例は,「土地について一番抵当権が設定された当時土地と地上建物の所有者が異なり,法定地上権成立の要件が充足されていなかった場合には,土地と地上建物を同一人が所有するに至った後に後順位抵当権が設定されたとしても,その後に抵当権が実行され,土地が競落されたことにより一番抵当権が消滅するときには,地上建物のための法定地上権は成立しないものと解するのが相当である」としている(最判平2.1.22 民法百選Ⅰ〔第5版新法対応補正版〕89事件)。したがって,抵当権が実行された結果,第一順位のBの抵当権が消滅している本記述においても,甲土地に乙建物のための法定地上権は成立しない。よって,本記述は正しい。参考道垣内Ⅲ215~216頁。
内田Ⅲ521~522頁。
道垣内Ⅲ224頁。
松井(担物)79~80頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,深夜,市街地にある幅員の狭い道路上に無灯火のまま駐車していた普通乗用自動車の後部トランク内にVを監禁したところ,数分後,たまたま普通乗用自動車で通り掛かった乙が居眠り運転をして同車を甲の自動車の後方に衝突させ,Ⅴは全身打撲の傷害を負い死亡した。この場合,甲の監禁行為とⅤの死亡の結果との間に,因果関係がある。刑法この問題の模試受験生正解率 91.9%結果正解解説判例は,本記述と同様の事例において,「被害者の死亡原因が直接的には追突事故を起こした第三者の甚だしい過失行為にあるとしても,道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁した本件監禁行為と被害者の死亡との間の因果関係を肯定することができる」としている(最決平18.3.27 刑法百選Ⅰ〔第8版〕11事件)。したがって,甲がVをトランクに監禁した行為とVの死亡の結果との間に,因果関係がある。よって,本記述は正しい。参考山口(総)66頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅰ)77頁。
条解刑法100頁。
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憲法憲法第99条が公務員の憲法尊重擁護義務を規定していることに鑑み,公務員に対して憲法尊重擁護の宣誓を課すことは許されるが,公務員に対して特定の憲法解釈を内容とする宣誓を課すことは,憲法第19条に反し,許されない。憲法この問題の模試受験生正解率 72.4%結果正解解説公務員は,憲法尊重擁護義務を負う(憲法99条)から,公務員に憲法尊重擁護の宣誓を課すこと自体は違憲とはいえない。ただし,公務員に対して特定の憲法解釈を内容とする宣誓や,人の政治的関係や信条を推知し,又は許容される政治的信条を枠付けた上でそれに従った行動を強要するような内容の宣誓をさせることは,同19条に違反すると解されている。よって,本記述は正しい。参考佐藤幸(日本国憲法論)247頁。
野中ほか(憲法Ⅰ)310~311頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,債権者代位権を行使するためには,債務者が無資力であることが必要でない場合があるが,詐害行為取消権を行使するためには,債務者が無資力であることが必要である。民法この問題の模試受験生正解率 45.7%結果正解解説債権者は,自己の債権を保全するため,債務者に属する権利を行使することができる(民法423条1項本文)。そして,判例は,「債権者は,債務者の資力が当該債権を弁済するについて十分でない場合にかぎり,自己の金銭債権を保全するため,民法423条1項本文の規定により当該債務者に属する権利を行使しうる」としているが(最判昭40.10.12),特定債権の履行が債務者の有する権利を代位行使することによって確保される場合には,当該特定債権の保全のために債権者代位権の行使を認めており(債権者代位権の転用),この場合には無資力要件を不要としている(大判明43.7.6 民法百選Ⅱ〔第7版〕14事件,大判昭4.12.16 民法百選Ⅱ〔第5版新法対応補正版〕12事件等)。一方,債権者は,債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができるところ(同424条1項本文),ここにいう「債権者を害する」とは,債務者の行為によって債務者の資産総額が債権額を弁済するのに不十分(無資力)となることをいうから,債務者が無資力でない場合には,債務者の処分行為は「債権者を害する」ものではなく,詐害行為にはならない。よって,本記述は正しい。
なお,同423条の7は,登記又は登録の請求権を保全するための債権者代位権を認めているが,これは,平成29年民法改正により,判例によって認められた債権者代位権の転用の具体例の一つを明文化したものである。参考内田Ⅲ339~340頁,351~352頁,366頁。
潮見(プラクティス債総)211頁,213頁,230~231頁。
中田(債総)248頁,264~267頁,293頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできないが,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。刑法この問題の模試受験生正解率 58.1%結果正解解説刑法38条3項本文は,「法律を知らなかったとしても,そのことによって,罪を犯す意思がなかったとすることはできない」と規定している。したがって,前段は正しい。一方,同項ただし書は,「情状により,その刑を減軽することができる」と規定しており,刑の免除をすることはできない。したがって,後段は誤りである。よって,本記述は誤りである。参考条解刑法143頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,選挙区割り及び議員定数の配分は,議員総数と関連させながら決定されるのであって,その決定内容は,相互に有機的に関連し,一つの部分における変動は他の部分にも波動的に影響を及ぼすべき性質を有し,その意味において不可分一体をなすので,議員定数配分規定の一部について投票価値の不平等が認められ,違憲と評価される場合,当該議員定数配分規定は,単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく,全体として違憲の瑕疵を帯びる。憲法この問題の模試受験生正解率 65.2%結果正解解説判例は,昭和47年12月10日施行の衆議院議員選挙について,投票価値の較差が憲法に違反するかどうかが争われた事例において,「選挙区割及び議員定数の配分は,議員総数と関連させながら,……複雑,微妙な考慮の下で決定されるのであって,一旦このようにして決定されたものは,一定の議員総数の各選挙区への配分として,相互に有機的に関連し,一の部分における変動は他の部分にも波動的に影響を及ぼすべき性質を有するものと認められ,その意味において不可分の一体をなすと考えられるから,……配分規定は,単に憲法に違反する不平等を招来している部分のみでなく,全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである」としている(最大判昭51.4.14 憲法百選Ⅱ〔第7版〕148事件)。よって,本記述は正しい。参考長谷部(憲法)176頁,180頁。
新・コンメ憲法474~475頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,抵当権の被担保債権の一部を弁済した第三者は,抵当権者の同意を得ることなく単独でその抵当権を行使することができるが,その抵当権が実行された場合には,競売代金の配当については,当該抵当権者が当該第三者に優先する。民法この問題の模試受験生正解率 56.4%結果正解解説債権の一部について代位弁済があったときは,代位者は,債権者の同意を得て,その弁済をした価額に応じて,債権者とともにその権利を行使することができる(民法502条1項)。したがって,抵当権の被担保債権の一部を弁済した第三者は,抵当権者の同意を得ることなく単独でその抵当権を行使することができるわけではない。よって,本記述は誤りである。
なお,代位者が権利行使したことによって得られる金銭については,同条3項は,債権者が行使する権利が,代位者が行使する権利に優先するとしており,この点については,本記述は正しい。参考内田Ⅲ89~90頁。
潮見(プラクティス債総)371~373頁。
中田(債総)431~433頁。
平野(債総)391頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,盗品等無償譲受け罪が成立するためには,無償譲受けについて契約を締結しただけでは足りず,盗品等が現実に移転されることが必要であるが,盗品等有償譲受け罪は,有償譲受けについて契約を締結しただけで成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 53.4%結果正解解説盗品等無償譲受け罪(刑法256条1項)が成立するためには,無償で盗品等の交付を受け,事実上の処分権を取得することが必要であると解されている。したがって,前段は正しい。また,判例は,盗品等有償譲受け罪(同条2項)が成立するためには,単に契約が成立しただけでは足りず,盗品等の現実の受領が必要であるとしている(大判大12.1.25)。したがって,後段は誤りである。よって,本記述は誤りである。参考山口(各)345頁,347頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)346頁。
条解刑法845~846頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。憲法この問題の模試受験生正解率 69.7%結果正解解説判例は,夫婦が夫又は妻の氏を称すると定める民法750条が,憲法13条,14条1項,24条に反するかが争われた事例において,「氏は,個人の呼称としての意義があり,名とあいまって社会的に個人を他人から識別し特定する機能を有するものであることからすれば,自らの意思のみによって自由に定めたり,又は改めたりすることを認めることは本来の性質に沿わないもの」であり,また,「氏に,名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があることからすれば,氏が,親子関係など一定の身分関係を反映し,婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは,その性質上予定されている」とした上で,「現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると,婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえ」ず,民法750条の規定は,「憲法13条に違反するものではない」としている(最大判平27.12.16 憲法百選Ⅰ〔第7版〕29事件)。よって,本記述は正しい。参考渡辺ほか(憲法Ⅰ)119頁。
安西ほか(読本)99頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,甲土地を所有するAが,遺言を残さないで死亡し,Bが唯一の相続人として甲土地を相続したが,Aは生前に甲土地をCに譲渡していた場合において,Cは,所有権移転登記をしなければ,Bに対し,甲土地の所有権の取得を対抗することができない。民法この問題の模試受験生正解率 55.6%結果正解解説判例は,民法177条にいう第三者とは,当事者及びその包括承継人以外の者で,登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいうとしている(大連判明41.12.15 不動産取引百選〔第3版〕46事件)。本記述において,Bは唯一の相続人として,Aの権利義務の一切を承継するのであるから(同896条本文),Aの包括承継人に当たり,同177条にいう第三者に当たらない。したがって,Cは登記がなくても,Bに甲土地の所有権の取得を対抗することができる。よって,本記述は誤りである。参考佐久間(物権)62頁。
松井(物権)101頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)甲は,某外国において,行使の目的で,通用する日本銀行券を偽造した。この場合,甲の行為について刑法(通貨偽造罪)が適用される。刑法この問題の模試受験生正解率 64.1%結果正解解説日本国外において我が国の国家的・社会的法益を害する一定の重大な罪を犯した者には,その者が日本国民であるか否かを問わず,刑法が適用される(刑法2条)。そして,これらの罪には,通貨偽造罪(同148条1項)が含まれる(同2条4号)。したがって,甲の行為について刑法が適用される。よって,本記述は正しい。参考大塚ほか(基本刑法Ⅰ)464頁。
条解刑法5~6頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,インターネット上の利用者は相互に情報の発受信に関して対等の地位に立ち言論を応酬し合える点に加え,個人利用者がインターネット上で発信した情報の信頼性は一般的に低いものと受け止められていることからすると,インターネットの個人利用者による表現行為に名誉毀損罪が成立するかどうかを判断するに当たっては,個人が他の表現手段を利用した場合とは異なった特別の配慮を要する。憲法この問題の模試受験生正解率 86.9%結果正解解説判例は,被告人自らが開設したホームページにおいて,同人がある株式会社の名誉を毀損する内容の文章を掲載したなどとして起訴された事例において,「個人利用者がインターネット上に掲載したものであるからといって,おしなべて,閲覧者において信頼性の低い情報として受け取るとは限らないのであって,相当の理由の存否を判断するに際し,これを一律に,個人が他の表現手段を利用した場合と区別して考えるべき根拠はない。そして,インターネット上に載せた情報は,不特定多数のインターネット利用者が瞬時に閲覧可能であり,これによる名誉毀損の被害は時として深刻なものとなり得ること,一度損なわれた名誉の回復は容易ではなく,インターネット上での反論によって十分にその回復が図られる保証があるわけでもないことなどを考慮すると,インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきものとは解されない」とし,インターネットの個人利用者による表現行為について特別な配慮をしない姿勢を示している(最決平22.3.15 平22重判憲法8事件)。よって,本記述は誤りである。参考芦部(憲法)194~195頁。
渡辺ほか(憲法Ⅰ)257~258頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,契約により,承役地の所有者が,自己の費用で地役権者の地役権行使のために承役地に工作物を設ける義務を負担した場合であっても,承役地の所有者は,いつでも,地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転することで,当該義務を免れることができる。民法この問題の模試受験生正解率 56.0%結果正解解説契約によって承役地の所有者が負担した地役権行使のために工作物を設ける義務は,いつでも,地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転することで,免れることができる(民法287条,286条)。これは,本来義務は放棄することができないが,地役権行使のために工作物を設ける義務は,いわば土地の所有者が負担するものであるから,土地の所有権を放棄して地役権者に移転することで,その義務を免れると考えられるためである。よって,本記述は正しい。参考佐久間(物権)250頁。
松井(物権)238頁。
我妻・有泉コメ515頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,窃盗の目的で,深夜,乙宅に侵入しようと乙宅玄関のガラスを割ったところで乙に発見されたため,逮捕を免れる目的で,同人に対し,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加え,その反抗を抑圧し,逃走した。甲には事後強盗未遂罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 63.7%結果正解解説事後強盗罪(刑法238条)の「窃盗」とは,窃盗罪(同235条)の実行に着手した者をいう。住居侵入窃盗の場合,住居に侵入しただけでは窃盗罪の実行の着手は認められないと解されており,判例も,窃盗の目的で人の家屋に侵入し,財物を物色した時に窃盗罪の実行の着手が認められるとしている(最判昭23.4.17)。本記述において,甲は,乙宅への侵入すら遂げていないから,窃盗罪の実行の着手は認められず,事後強盗罪の「窃盗」には当たらない。したがって,甲には事後強盗未遂罪(同243条,238条)は成立しない。よって,本記述は誤りである。参考西田(各)162頁,195頁。
条解刑法746頁,767頁。
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憲法合憲限定解釈には,立法者の意思を超えて法文の意味を書き換えてしまう可能性があり,立法権の簒奪につながりかねないという問題や,当該解釈が不明確であると,犯罪構成要件の保障的機能を失わせ,憲法第31条違反の疑いを生じさせるという問題があるとされる。憲法この問題の模試受験生正解率 72.2%結果正解解説合憲限定解釈とは,違憲性が争われている法文について,広い意味で解釈すれば違憲となり,狭い意味で解釈すれば合憲となる場合に,狭い意味の解釈を採用することにより違憲判断を回避する手法をいう。合憲限定解釈には,無理な解釈によって合憲限定解釈をした場合,かかる合憲限定解釈によって立法者の意思に反して事実上法文の意味を書き換えてしまう可能性があり,裁判所が司法の権限を逸脱して立法権を簒奪してしまう可能性がある,また,法文について不明確な合憲限定解釈をしてしまうと,犯罪構成要件の保障的機能を失わせてしまい,憲法31条違反の疑いを生じさせるという問題点があるとされる。後者について,判例も,公務員が争議行為のあおり行為を行ったため逮捕・起訴された事例において,「不明確な限定解釈は,かえって犯罪構成要件の保障的機能を失わせることとなり,その明確性を要請する憲法31条に違反する疑いすら存する」としている(最大判昭48.4.25 全農林警職法事件 憲法百選Ⅱ〔第7版〕141事件)。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)394頁。
佐藤幸(日本国憲法論)702~705頁。
野中ほか(憲法Ⅱ)315頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)367~370頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,AのBに対する甲債権を担保する目的で,BがCに対して有する乙債権の代理受領をAに委任し,Cが,Aに対しその担保の事実を知りつつ代理受領権限を承認したにもかかわらず,Bに対して弁済したため,AがCからの弁済を受領することにより甲債権の満足を得る利益を失った場合,Aは,Cに対し,不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる。民法この問題の模試受験生正解率 59.8%結果正解解説本記述のように,甲債権を担保する目的で,債務者Bが債権者Aに対し,乙債権の弁済をBに代わって受領する権限を与えてこれを委任し,CがAに対し,それを承認することを「代理受領」という。本記述において,代理受領の承認がされれば,Aは,CのBに対する債務の弁済を受領する権限を取得するが,CがBに弁済してしまった場合におけるAの救済について,判例は,代理受領の「承認」は,単に代理受領を承認するというにとどまらず,代理受領によって甲債権の満足を得るというAの利益を承認し,正当の理由がなくその利益を侵害しないという趣旨をも当然包含するから,Cとしては,承認の趣旨に反し,Aの利益を害することのないようにすべき義務があるとした上で,Cが承認の際担保の事実を知っていたなどの事情がある場合には,Aは,Cに対し不法行為に基づく損害賠償請求をすることができるとしている(最判昭44.3.4 民法百選Ⅰ〔第5版新法対応補正版〕100事件)。よって,本記述は正しい。
なお,Cの承認によって,ABC間の三面契約が成立したと構成することができる場合には,Aは,Cに対し,不法行為責任以外に債務不履行責任を追及することもできると解されている。参考内田Ⅲ662~663頁。
道垣内Ⅲ350頁。
松井(担物)232頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,Aから金銭を喝取しようと考え,Aの店の前で連日怒声を上げるなどして客足を遠のかせてAの業務を妨害し,金銭を支払わなければ引き続き妨害行為を続ける旨の態度を示しAを畏怖させ,金銭を交付させた。この場合,甲には,威力業務妨害罪と恐喝罪が成立し,これらは牽連犯となる。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,職業の許可制が,自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的, 警察的措置である場合には,許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によってはその目的を十分に達成することができないと認められれば,当該措置を導入したことの合憲性が肯定される。憲法この問題の模試受験生正解率 34.6%結果正解解説最大判昭50.4.30(薬事法距離制限違憲判決 憲法百選I 〔第7版〕92事件)は,職業の自由に対する規制の合憲性判断枠組みにつき,「一般に許可制は,単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて,狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので,職業の自由に対する強力な制限であるから,その合憲性を肯定しうるためには,原則として,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し,また,それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく,自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的,警察的措置である場合には,許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの, というべきである」としている。同判決は,職業の自由に対する規制の合憲性は,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であるかという判断に加えて,許可制が消極目的から導入される場合には,許可制に比べて職業の自由に対するより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によってはその目的を十分に達成することができないと認められることを要するとしている。よって,本記述は誤りである。
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民法判例の趣旨に照らした場合,Aに代理権を与えたBは,Aが自己の利益を図る目的で,Cとの間でその代理権の範囲内の行為をした場合において,CがAの目的を過失なく知らなかったときは,その行為についての責任を負う。民法この問題の模試受験生正解率 87.8%結果正解解説代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合,その行為は,原則として本人にその効力を生ずるが,相手方がその目的を知り,又は知ることができたときは,その行為は,無権代理行為とみなされる(民法107条)。したがって,CがAの目的を過失なく知らない本記述においては,Bは,原則どおりAがした行為についての責任を負う。よって,本記述は正しい。参考佐久間(総則)250~251頁。
リーガルクエスト(総則)204~205頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,強盗致傷罪において必要とされる反抗を抑圧するに足りる程度の暴行からは多少の傷害が生じるのが通常であって,軽微な傷害は強盗の手段としての暴行に評価し尽くされているから,強盗致傷罪における傷害は,傷害罪における傷害よりも重大なものでなければならない。
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憲法日本国憲法の改正手続に関する法律は,公職選挙法が18歳未満の者の選挙運動を禁止しているのとは異なり,18歳未満の者の国民投票運動(憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する行為)を禁止していない。憲法この問題の模試受験生正解率 64.5%結果正解解説日本国憲法の改正手続に関する法律は,憲法改正案に対する国民投票運動(憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する行為同100条の2)について規定するが,選挙運動と比較すると規制が緩和されている。例えば,選挙では,18歳未満の者の選挙運動は禁止されているが(公職選挙法137条の2第1項),国民投票運動には年齢制限はない。その理由としては,選挙と比べて不当な利益誘導のなされる危険が少ないといった説明がなされている。したがって,日本国憲法の改正手続に関する法律は,18歳未満の者の国民投票運動を禁止していない。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)407~408頁。
渡辺ほか(憲法I)429頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)158頁。
リーガルクエスト(憲法I)36頁。 -
民法A男(17歳)とB女(18歳)との間に子Cが生まれた場合,Aは,成年に達すれば,Cを養子とする普通養子縁組をすることができる。民法この問題の模試受験生正解率 61.0%結果正解解説普通養子縁組の養親となることができる者の年齢は,20歳である(民法792条)。したがって,Aは,成年(18歳)に達しただけではCの養親となることはできない。よって,本記述は誤りである。
なお,平成30年民法改正前においては,普通養子縁組の養親となることができる者の年齢について,「成年に達した者」とされていたが,同改正により成年年齢が18歳に引き下げられたことから,養親年齢については,「20歳に達した者」と改められた。成年年齢を引き下げても,養親となる者については,一定の成熟度が求められるという観点から,同改正前の年齢が維持されたものである。参考窪田(家族法)246~247頁。
リーガルクエスト(親族・相続)151頁。
新基本法コメ(親族)164頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,自宅の前の道路を通勤のため毎日通行しているA女に一方的に好意を抱き,Aを自宅の一室に連れ込んで閉じ込めようと考え,甲の自宅前の道路上においてAを待ち伏せた上,歩いてきたAを自宅に連れ込むため,Aの顔面を手拳で殴打し顔面に傷害を負わせたが,Aが逃げたため,自宅に連れ込むことはできなかった。この場合,甲には,監禁致傷罪は成立しない。刑法この問題の模試受験生正解率 75.6%結果正解解説監禁致死傷罪(刑法221条)は,監禁罪を犯し,よって人を死傷させた場合に成立する結果的加重犯であるから,監禁致死傷罪が成立するためには,基本犯としての監禁罪が成立すること,及び監禁行為と人の死傷との間に因果関係が存在することが必要である。本記述においては,Aは,甲宅に連れ込まれる前に逃げているため,甲には基本犯としての監禁罪が成立しない。したがって,甲に監禁致傷罪は成立しない。よって,本記述は正しい。参考西田(各)84頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)57頁。
条解刑法667頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,国が,難民条約の批准等及びこれに伴う国会審議を契機として,外国人に対する生活保護について一定範囲で国際法及び国内公法上の義務を負うことを認めたことからすると,一定の範囲の外国人は,生活保護法に基づく保護の対象となり得る。憲法この問題の模試受験生正解率 76.5%結果正解解説判例は,永住外国人が,市に対して生活保護法に基づく生活保護の申請をしたところ,当該申請を違法に却下する処分を受けたとして,その取消し等を求めた事例において,「旧生活保護法は,その適用の対象につき「国民」であるか否かを区別していなかったのに対し,現行の生活保護法は,1条及び2条において,その適用の対象につき「国民」と定めたものであり,このように同法の適用の対象につき定めた上記各条にいう「国民」とは日本国民を意味するものであって,外国人はこれに含まれ」ず,「現行の生活保護法が制定された後,現在に至るまでの間,同法の適用を受ける者の範囲を一定の範囲の外国人に拡大するような法改正は行われておらず,同法上の保護に関する規定を一定の範囲の外国人に準用する旨の法令も存在しない」ため,「生活保護法を始めとする現行法令上,生活保護法が一定の範囲の外国人に適用され又は準用されると解すべき根拠は見当たらない」,また,行政庁の通達等に基づく「行政措置として一定範囲の外国人に対して生活保護が事実上実施されてきたとしても,そのことによって,生活保護法1条及び2条の規定の改正等の立法措置を経ることなく,生活保護法が一定の範囲の外国人に適用され又は準用されるものとなると解する余地はなく」,これは,我が国が難民の地位に関する条約等に加入した際の経緯を勘案しても変わらないとし,結論として,「外国人は,行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり,生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく,同法に基づく受給権を有しない」としている(裁判平26.7.18 平26重判憲法11事件)。よって,本記述は誤りである。
なお,同判決の原審(福岡高判平23.11.25 平23重判国際法3事件)は,「国は,難民条約の批准等及びこれに伴う国会審議を契機として,外国人に対する生活保護について一定範囲で国際法及び国内公法上の義務を負うことを認めたものということができる。すなわち,行政府と立法府が,当時の出入国管理令との関係上支障が生じないとの認定の下で,一定範囲の外国人に対し,日本国民に準じた生活保護法上の待遇を与えることを是認したものということができるのであって,換言すれば一定範囲の外国人において上記待遇を受ける地位が法的に保護されることになったものである」から,生活保護法の文言にかかわらず,一定範囲の外国人も生活保護法の準用による法的保護の対象になるとしている。参考佐藤幸(日本国憲法論)167頁。
リーガルクエスト(憲法Ⅱ)30頁。
新井ほか(憲法Ⅱ)24頁。 -
民法AB夫婦が離婚し,その1か月後にBがCを出産した場合に判例の趣旨に照らすと,Cが嫡出の推定が及ばない子であると認められるときは,Cは,血縁上の父に対して認知の請求をすることができる。民法この問題の模試受験生正解率 44.4%結果正解解説嫡出でない子について,法律上の父子関係を成立させるには,認知による必要がある。認知には,父の側からその子について父子関係があることを認める任意認知(民法779条)と,父が任意に認知しない場合に,子の側が訴えによって認知を求め,判決により父子関係を成立させる強制認知(同787条)がある。そして,婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は,夫の子と推定されるが(同772条),判例は,形式的に同条の嫡出推定を受ける子であっても,子の懐胎時に夫が不在であったり,事実上の離婚状態があったなど妻と夫の間に同棲や実質的な夫婦生活が存在せず,外観上夫による懐胎でないことが明らかな場合には,同条の推定が及ばないとしている(推定の及ばない子 最判昭44.5.29 家族法百選〔第5版〕30事件,最判平10.8.31など)。したがって,推定の及ばない子Cは,真実の父に対して認知請求をすることができる。よって,本記述は正しい。参考窪田(家族法)176~177頁,193~197頁。
リーガルクエスト(親族・相続)125~126頁,134頁。
新・コンメ民法(家族法)91頁,101頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,実父乙がその友人である丙から借り受け,自室で管理していた丙所有の腕時計を,乙の所有物であると誤信し,それを自分のものにしようと思い,乙の部屋から持ち出した。この場合,甲には,窃盗罪は成立しない。刑法この問題の模試受験生正解率 66.9%結果正解解説刑法244条1項は,配偶者,直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者について,刑の免除を認める規定である。判例は,同「244条1項は,親族間の一定の財産犯罪については,国家が刑罰権の行使を差し控え,親族間の自律にゆだねる方が望ましいという政策的な考慮に基づき,その犯人の処罰につき特例を設けたにすぎず,その犯罪の成立を否定したものではない」として(最決平20.2.18 刑法百選Ⅱ〔第8版〕35事件),同項を政策的な理由に基づいて,人的処罰阻却事由を定めた規定であると解している。同項の親族関係の錯誤については,同項について人的処罰阻却事由を定めた規定と解する以上,犯罪事実に関する錯誤とはいえず,故意あるいは犯罪の成否に影響を及ぼさない。したがって,本記述では,甲には,窃盗罪(同235条)が成立する。よって,本記述は誤りである。参考井田(総)183~184頁。
条解刑法778~779頁。
大コメ(刑法・第3版)(12)572~574頁。
大コメ(刑法・第3版)(13)700頁。
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憲法立法権が議会に,司法権が裁判所に分化帰属して,残ったものが行政権になったという歴史的経緯に適合することなどを理由として,行政権とは,全ての国家作用のうちから立法権と司法権を除いた残余の権力であるとする見解に対しては,弾劾裁判所の設置権も裁判所規則制定権も行政権になってしまいかねないとの批判が妥当する。憲法この問題の模試受験生正解率 32.9%結果正解解説憲法65条は,「行政権は,内閣に属する。」と規定し,行政権は内閣の権限であるとする。そして,本記述の見解は,行政権とは,全ての国家作用のうちから立法権と司法権を除いた残余の権力であるとする(控除説)。控除説を前提にすると,立法権・司法権以外の国家作用は,全て行政権ということになる。そこで,控除説に対しては,国会の権限である弾劾裁判所の設置権(同64条1項),また,最高裁判所の権限である裁判所規則制定権(同77条1項)も行政権ということになりかねないとの批判が妥当する。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)333~334頁。
佐藤幸(日本国憲法論)523~525頁。
野中ほか(憲法Ⅱ)196~197頁。
安西ほか(憲法学読本)300頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)282~283頁。 -
民法売買の目的物として買主に引き渡された物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において,買主が代金減額請求権を行使したときは,買主は,その後,その不適合を理由とする履行の追完に代わる損害の賠償を請求することはできない。民法この問題の模試受験生正解率 58.5%結果正解解説民法564条は,同562条及び同563条の規定は,同415条の規定による損害賠償の請求並びに同541条及び同542条の規定による解除権の行使を妨げないとしている。同564条は,同562条が買主の追完請求権を規定し,同563条が代金減額請求権を規定していることは,同415条所定の損害賠償請求権の行使及び同541条,542条の解除権の行使を妨げないことを定めたものであり,両立しない請求を認めるものではない。例えば,本記述のように,代金減額請求権が行使されると,契約の内容に適合しなかった部分について,代金債務の減額と引換えに,引渡債務の内容も現実に引き渡された目的物の価値に応じて圧縮され,契約の内容に適合した物が引き渡されたとみなされることになるので,さらに,当該不適合を理由とする履行の追完に代わる損害賠償請求を認めることはできない。よって,本記述は正しい。参考潮見(新契約各論I)150頁。
中田(契約)310~312頁。
一問一答(民法(債権関係)改正)279頁。
新基本法コメ(債権2)130~131頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,責任能力の有無・程度について,専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠として提出され,裁判所がその証拠を採用する場合には,裁判所は,その意見に従い認定しなければならない。刑法この問題の模試受験生正解率 87.2%結果正解解説判例は,責任能力の判断は専ら裁判所に委ねられるべき法律的判断であることを前提としつつ,「生物学的要素である精神障害の有無及び程度並びにこれが心理学的要素に与えた影響の有無及び程度については,その診断が臨床精神医学の本分であることにかんがみれば,専門家たる精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合には,鑑定人の公正さや能力に疑いが生じたり,鑑定の前提条件に問題があったりするなど,これを採用し得ない合理的な事情が認められるのでない限り,その意見を十分に尊重して認定すべきものというべきである」としている(最判平20.4.25 平20重判刑法4事件)。したがって,裁判所は上記のような証拠を採用した場合でも,専門家である鑑定人の意見に従い認定しなければならないわけではない。よって,本記述は誤りである。参考西田(総)301~302頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅰ)224頁。
条解刑法168頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,放送事業者又は放送事業者が制作に協力を依頼した関係業者から素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,あるいは信頼したとしても,その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならない。憲法この問題の模試受験生正解率 59.6%結果正解解説判例は,テレビ局の番組について,番組制作会社等が当初説明した内容とは異なる趣旨で番組を制作・放送して,期待や信頼を侵害したなどとして,取材対象者が損害賠償を求めた事例において,「放送事業者がどのように番組の編集をするかは,放送事業者の自律的判断にゆだねられており,番組の編集段階における検討により最終的な放送の内容が当初企画されたものとは異なるものになったり,企画された番組自体放送に至らない可能性があることも当然のことと認識されているものと考えられることからすれば,放送事業者又は制作業者(注:放送事業者が制作に協力を依頼した関係業者)から素材収集のための取材を受けた取材対象者が,取材担当者の言動等によって,当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,あるいは信頼したとしても,その期待や信頼は原則として法的保護の対象とはならない」としている(最判平20.6.12 メディア百選〔第2版〕98事件)。よって,本記述は正しい。参考辻村(憲法)212頁。
アルマ(憲法1)182~183頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,Aがその所有する甲建物をBに賃貸し,BがAの承諾を得てCに甲建物を転貸した場合において,AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは,特段の事情のない限り,AB間の賃貸借契約が終了した時点で,BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能となる。民法この問題の模試受験生正解率 59.6%結果正解解説賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合は,賃貸借は,これによって終了する(民法616条の2)。そして,適法に転貸借がなされた場合において,原賃貸借契約が債務不履行を理由に終了したときは,転借人は原賃貸人に対して転借権を対抗することはできないから,転貸借契約は消滅することになるが,その終了時期がいつなのかについて争いがある。平成29年民法改正前の事例であるが,判例は,「賃貸借契約が転貸人の債務不履行を理由とする解除により終了した場合,賃貸人の承諾のある転貸借は,原則として,賃貸人が転借人に対して目的物の返還を請求した時に,転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する」としている(最判平9.2.25 民法百選Ⅱ〔第8版〕64事件)。その理由として,同判決は,「賃貸人が転借人に直接目的物の返還を請求するに至った以上,転貸人が賃貸人との間で再び賃貸借契約を締結するなどして,転借人が賃貸人に転借権を対抗し得る状態を回復することは,もはや期待し得ないものというほかはなく,転貸人の転借人に対する債務は,社会通念及び取引観念に照らして履行不能というべき」ことを挙げている。同判決は,同改正後においても妥当すると解されている。したがって,本記述において,AがCに甲建物の返還を請求した時に,BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能となる。よって,本記述は誤りである。参考潮見(新契約各論I)478~482頁。
中田(契約)429頁。
論点体系判例民法(6)110頁。
新債権法の論点と解釈482頁。
新基本法コメ(債権2)221頁。
新・コンメ民法(財産法)1046~1047頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,複数名が殴り合いのけんかをしている場所でその暴行をはやし立てた者には,けんかの当事者に傷害の結果が生じなかった場合,現場助勢罪は成立しない。刑法この問題の模試受験生正解率 77.2%結果正解解説現場助勢罪(刑法206条)は,傷害罪,傷害致死罪(同205条)が行われるに当たり,はやし立てたり,無責任な声援を送ったりするなど,現場において勢いを助ける行為を処罰の対象としている。現場助勢罪は,傷害又は傷害致死の犯罪が行われていることを要するから,暴行の段階で助勢したがこれらの結果が生じなかった場合には,現場助勢罪は成立しない。よって,本記述は正しい。参考西田(各)47頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)221頁。
条解刑法621頁。
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憲法憲法上,地方政治では,執行権の担い手である長と,議決機関である議会が,それぞれ直接に住民に対し責任を負う体制が採られているため,法律上,議会が長の不信任決議をしたり,長が議会の解散権を持つといった制度は設けられていない。憲法この問題の模試受験生正解率 70.7%結果正解解説憲法93条は,地方公共団体の機関として,公選の長と議会を規定する。それを受けて,地方自治法は,普通地方公共団体の長と地方公共団体の議会の議員との兼職禁止を定める(同141条2項)等,執行権の担い手としての長と,議決機関である議会が,それぞれ直接に住民に対して責任を負う二元的代表制が採られている。もっとも,議院内閣制的仕組みとして,同法は,議会の特別多数決による長に対する不信任決議と,長による議会の解散権について規定している(同178条1項)。よって,本記述は誤りである。参考野中ほか(憲法Ⅱ)372~373頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)425頁。
リーガルクエスト(憲法I)375頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,A法人がBに対する金銭債権をCに譲渡し,その債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がなされた場合,その登記の存在のみをもって,Cは,Bに対して自己が債権者であることを主張することができる。民法この問題の模試受験生正解率 54.9%結果正解解説法人が金銭債権を譲渡した場合において,当該債権の譲渡につき債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされたときは,当該債権の譲受人において民法467条の第三者対抗要件が具備されたものとみなされる(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(以下「特例法」という。)4条1項前段)。すなわち,債権譲渡登記ファイルへの譲渡の登記は,あくまで第三者対抗要件にすぎない。そして,同項における登記(以下「債権譲渡登記」という。)がされた場合において,当該債権の譲渡及びその譲渡につき債権譲渡登記がされたことについて,譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし,又は当該債務者が承諾をしたときは,債務者対抗要件が具備されたものとみなされる(同条2項)。したがって,本記述において,CがBに対して自己が債権者であることを主張するためには,債権譲渡登記に加え,債権譲渡及び債権譲渡登記がされたことについて,A若しくはCがBに登記事項証明書を交付して通知をするか,又はBがそのことを承諾する必要がある。よって,本記述は誤りである。参考内田Ⅲ261~262頁。
潮見(プラクティス債総)531~532頁。
中田(債総)681頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,現行犯逮捕され,最寄りの警察署に連行された後,取調べを受けていたが,トイレ休憩の際に,隙を見てトイレの窓から中庭に出て,警察署の敷地外へ逃走しようとしたが,それを果たすことなく警察官に拘束された。この場合,甲には,逃走罪の未遂犯が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 33.8%結果正解解説逃走罪(刑法97条)の主体は,「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」である。「裁判の執行により拘禁された」という文言は,逮捕された者を除く趣旨を明確にするために入れられたものである。裁判の執行により拘禁された未決の者とは,勾留状によって,刑事施設(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律3条)又は留置施設(同14条)に拘禁されている被告人又は被疑者をいい,逮捕された者は含まれない(札幌高判昭28.7. 9)。本記述では,甲は現行犯逮捕された者であり,刑法97条の主体にはならない。したがって,甲には,逃走罪の未遂犯(同97条,102条)は成立しない。よって,本記述は誤りである。
なお,同罪が既遂に達するのは,同罪の主体が,刑事施設等の外に脱出するなどして,看守者の実力的支配を脱した時である。参考山口(各)565頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)540~541頁。
条解刑法323~324頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,宗教法人の解散命令が確定したときはその清算手続が行われる結果,宗教法人に帰属する財産で礼拝施設その他の宗教上の行為の用に供していたものも処分されるため,解散命令は,これらを用いて行っていた信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を伴うものといえる。憲法この問題の模試受験生正解率 57.8%結果正解解説判例は,宗教法人に対する解散命令が,信者の信教の自由を不当に制約し許されないのではないかが争われた事例において,「解散命令によって宗教法人が解散しても,信者は,法人格を有しない宗教団体を存続させ,あるいは,これを新たに結成することが妨げられるわけではなく,また,宗教上の行為を行い,その用に供する施設や物品を新たに調えることが妨げられるわけでもない。すなわち,解散命令は,信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないのである。もっとも,宗教法人の解散命令が確定したときはその清算手続が行われ・・・・・・,その結果,宗教法人に帰属する財産で礼拝施設その他の宗教上の行為の用に供していたものも処分されることになるから・・・・・・,これらの財産を用いて信者らが行っていた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生ずることがあり得る」としている(最決平8.1.30 憲法百選I〔第7版〕39事件)。同決定によれば,解散命令は,信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わない。よって,本記述は誤りである。
なお,同決定は,「宗教法人に関する法的規制が,信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても,これに何らかの支障を生じさせることがあるとするならば,憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性に思いを致し,憲法がそのような規制を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならない」としている。参考芦部(憲法)164頁。
渡辺ほか(憲法I)176頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,注文者が破産手続開始の決定を受けたときは,請負人は,仕事の完成前であれば,請負契約を解除することができる。民法この問題の模試受験生正解率 86.4%結果正解解説注文者が破産手続開始の決定を受けたときは,請負人又は破産管財人は,契約の解除をすることができる(民法642条1項本文)。このうち,請負人の解除権の行使については,仕事の完成前に限って認められる(同項ただし書)。仕事の完成前に限って請負人の解除権が認められた趣旨は,注文者が破産手続開始決定を受けた場合,請負人が仕事の完成までに投人する労力に応じた報酬を確保できない危険性があることによるところ,注文者が破産手続開始決定を受けた時点で仕事が完成している場合には,請負人がそれ以上の損害を被る危険性がないことによる。よって,本記述は正しい。参考潮見(基本講義・債各I)254頁。
中田(契約)523~524頁。
新・コンメ民法(財産法)1088~1089頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,製薬会社に勤務し経理部に所属していたが,同社の研究開発部が開発中の薬剤に係る情報を他の製薬会社に売り渡そうと考え,研究開発部に所属し,同薬剤の開発に携わっていた乙のパソコンに保存されていた当該情報を甲が所有するUSBメモリに転送し,当該USBメモリを金銭と引換えに丙社に引き渡した。この場合,甲には,窃盗罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 67.7%結果正解解説窃盗罪の客体は,「他人の財物」である。情報は,財物ではないので,情報自体を盗んでも窃盗罪とはならない。裁判例も,情報それ自体を財物とは解しておらず,情報が化体した媒体につき財物性を肯定している(東京地判昭59.6.28 刑法百選Ⅱ〔第8版〕33事件)。本記述では,甲は,自己の所有するUSBメモリに開発中の薬剤に係る情報を転送したにすぎない。したがって,当該USBメモリを引き渡しても,甲には,窃盗罪は成立しない。よって,本記述は誤りである。参考高橋(各)218~219頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)122頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とした民法の法定相続分規定は,遺言によっても侵害し得ない遺留分の計算において明確な法律上の差別というべきであるとともに,当該規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねないことをも考慮すれば,当該規定が補充的に機能する規定であることは,その合理性判断において重要性を有しない。憲法この問題の模試受験生正解率 16.1%結果正解解説判例は,民法900条(平成25年法律第94号による改正前のもの)は法定相続分について規定し,同条4号は被相続人に子が数人あるときは各自の相続分を相等しいものとした上で,同号ただし書で非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めていた(以下「本件規定」という。)ところ,これが憲法14条1項に反するかどうかが争われた事例において,最大決平7.7.5(憲法百選I〔第5版〕31事件)においては,「本件規定を含む法定相続分の定めが遺言による相続分の指定等がない場合などにおいて補充的に機能する規定であることをも考慮事情としている。しかし,本件規定の補充性からすれば,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を平等とすることも何ら不合理ではないといえる上,遺言によっても侵害し得ない遺留分については本件規定は明確な法律上の差別というべきであるとともに,本件規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねないことをも考慮すれば,本件規定が上記のように補充的に機能する規定であることは,その合理性判断において重要性を有しない」としている(最大決平25.9.4 憲法百選I〔第7版〕27事件)。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)140~142頁。
渡辺ほか(憲法I)150~151頁。 -
民法A男(17歳)とB女(18歳)との間に子Cが生まれた場合,AがCを認知していない場合,Cに対する親権は,Bが行使する。民法この問題の模試受験生正解率 61.0%結果正解解説嫡出でない子に対する親権は,その子を認知した父と母の協議で,父を親権者と定めたときを除き(民法819条4項),母が行う。したがって,本記述において,Cに対する親権は,母であるBが行う。よって,本記述は正しい。
なお,親権を行う者は,その親権に服する子に代わって親権を行うこととされているが(同833条),本問において,Cの親権者であるBは18歳であり,成年に達しているから(同4条),同833条の適用はない。参考窪田(家族法)305頁。
リーガルクエスト(親族・相続)172頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,妊娠中の甲は,医者である乙に嘱託し,堕胎を行わせた。この場合,甲には,業務上堕胎罪の教唆犯が成立する。
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憲法特別会は,衆議院の解散又は衆議院議員の任期満了による総選挙後に召集される国会であり,その目的は,内閣総理大臣の指名であるから,内閣総理大臣の指名が終われば,直ちに会期は終了する。憲法この問題の模試受験生正解率 58.1%結果正解解説特別会とは,衆議院の解散後,総選挙が行われた後に召集される国会をいう。衆議院議員の任期満了による総選挙後に召集される国会は,特別会ではなく,臨時会である。また,特別会の主たる目的は,内閣総理大臣の指名(憲法67条1項前段)であるが,その審議事項について,特に制約はない。そのため,会期中であれば,内閣総理大臣の指名以外の事項について審議することは可能であって,内閣総理大臣の指名がされたからといって,直ちに特別会の会期が終了するわけではない。よって,本記述は誤りである。参考野中ほか(憲法Ⅱ)116頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)253頁。
注釈日本国憲法(3)662頁。 -
民法多数当事者の債権及び債務に関して,数人の債権者がいる場合に,可分な債権の目的を当事者の意思表示によって不可分とすることができる。民法この問題の模試受験生正解率 38.7%結果正解解説不可分債権とは,一個の不可分な給付について多数の債権者がいる場合に,同一の不可分給付を目的とする債権が債権者の数だけ生じる債権関係をいう。平成29年民法改正前は,債権の目的が性質上不可分であるもののほか,意思表示により不可分とされるものも,不可分債権に含まれていた。しかし,連帯債権との区別が不明瞭であり,また,同改正によりあえて性質上可分な場合を不可分債権とする実益がなくなったため,意思表示による不可分債権は廃止し,同改正前の意思表示による不可分債権に相当するものは,連帯債権として扱うこととされた(民法428条・432条参照)。よって,本記述は誤りである。参考内田Ⅲ473頁,475頁。
潮見(プラクティス債総)596頁。
中田(債総)515~516頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲と乙は,裁判所に提出する目的で,市立病院の医師丙を教唆して内容虚偽の診断書を作成させる共謀をし,乙は,丙にこれを依頼したが,丙に断られたため,甲と相談することなく,当初と同一の目的で,医師でない丁を教唆して市立病院医師丙名義の診断書を作成させた。この場合,甲には,有印公文書偽造教唆罪の共同正犯が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 52.5%結果正解解説判例は,保釈の請求に使用するため,刑務所医師をして虚偽内容の診断書を作成せしめることを共謀した者のうちの一人が,他の共犯者に謀ることなく同一の目的のため他人をして刑務所医師名義の診断書を作成せしめたという事例において,本件の故意の内容は虚偽公文書作成罪(刑法156条)の教唆であり,結果は公文書偽造罪(同155条)の教唆であるところ,「この両者は犯罪の構成要件を異にするもその罪質を同じくするものであり且法定刑も同じである。而して右両者の動機目的は全く同一である」から,他の共謀者について,「法律上本件公文書偽造教唆につき故意を阻却しない」として有印公文書偽造教唆罪の共同正犯(同条1項,61条1項,60条)の成立を認めている(最判昭23.10.23 刑法百選I〔初版〕53事件)。したがって,本記述において,甲には,有印公文書偽造教唆罪の共同正犯が成立する。よって,本記述は正しい。参考大谷(講義総)465~466頁。
井田(総)556~557頁。
大塚ほか(基本刑法I)347頁。
条解刑法160頁。
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憲法法律で,「町村は,条例で,議会を置かず,選挙権を有する住民の総会を設けることができる。」と定めることは,違憲ではないと解されているが,これまでにこのような町村総会が設置された例はない。憲法この問題の模試受験生正解率 70.7%結果正解解説直接選挙で選ばれる議員によって構成される議決機関としての議会の設置は,憲法93条の要求するところである。そして, 地方自治法も「普通地方公共団体に議会を置く。」と規定する(同89条)。この規定にかかわらず,町村は,条例で,議会を置かず,選挙権を有する者の総会を設けることができる(同94条)。そして,このような町村総会も憲法上の「議会」に当たると解されている。地方自治法下において,町村総会を設置した例としては,東京都八丈支庁管内宇津木村がある。よって,本記述は誤りである。参考野中ほか(憲法Ⅱ)373頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)426頁。
リーガルクエスト(憲法I)374頁。 -
民法Aが所有する甲土地とBが所有する乙土地が隣接している場合,判例の趣旨に照らすと,乙土地上に生えている樹木の枝が,境界線を越えて甲土地上に伸びてきたときは,Aは,Bの承諾なくその枝を切り取ることができる。民法この問題の模試受験生正解率 73.7%結果正解解説隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは,その竹木の所有者に,その枝を切除させることができる(民法233条1項)。したがって,本記述において,Aは,Bの承諾なく自ら乙土地上の樹木の枝を切り取ることはできない。よって,本記述は誤りである。参考松井(物権)175頁。
新注釈民法(5)445頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,違法な業務も,業務妨害罪の客体になり得る。刑法この問題の模試受験生正解率 66.5%結果正解解説業務妨害罪における「業務」は,職業その他の社会生活上の地位に基づいて継続して従事する事務のことをいう(大判大10.10.24)。同罪は,事実上平穏に行われている人の社会的活動の自由を保護しようとするものであるから,その業務の適法性については,刑法的な保護に値するものであれば足り,違法なものでも同罪の業務に含まれると解されている(東京高判昭27.7.3,東京高判昭24.10.15等参照)。判例も,行政代執行の手続をとるべきであったが,相手方や目的物の特定等の点で困難があるので,そのような手続を踏まずに東京都の職員が路上生活者の段ボール小屋を撤去した事例において,「やむを得ない事情に基づくものであって,業務妨害罪としての要保護性を失わせるような法的瑕疵があったとは認められない」としている(最決平14.9.30 刑法百選Ⅱ〔第8版〕24事件)。よって,本記述は正しい。参考西田(各)138頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)110~111頁。
条解刑法715~716頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,信仰上の理由から剣道実技の履修を拒否した高等専門学校の生徒に対して学校長が行った原級留置処分や退学処分が,当該生徒がそれら各処分による不利益を避けるために剣道実技の履修という自己の信仰上の教義に反する行動を採ることを余儀なくされるという性質を有する場合には,当該生徒の信教の自由を直接的に制約するものであるから,学校長はそれらの処分をするに当たり,当然そのことに相応の考慮を払う必要がある。憲法この問題の模試受験生正解率 57.8%結果正解解説判例は,公立の高等専門学校での剣道実技の履修を信仰上の理由から拒否したため,学校長(注:上告人)から原級留置処分及び退学処分を受けた生徒(注:被上告人)が,当該処分は信教の自由を侵害するものとしてその取消しを求めた事例において,「被上告人は,信仰上の理由による剣道実技の履修拒否の結果として,他の科目では成績優秀であったにもかかわらず,原級留置,退学という事態に追い込まれたものというべきであり,その不利益が極めて大きいことも明らかである。また,本件各処分(注:原級留置処分及び退学処分)は,その内容それ自体において被上告人に信仰上の教義に反する行動を命じたものではなく,その意味では,被上告人の信教の自由を直接的に制約するものとはいえないが,しかし,被上告人がそれらによる重大な不利益を避けるためには剣道実技の履修という自己の信仰上の教義に反する行動を採ることを余儀なくさせられるという性質を有するものであったことは明白である」ところ,「上告人の採った措置が,信仰の自由や宗教的行為に対する制約を特に目的とするものではなく,教育内容の設定及びその履修に関する評価方法についての一般的な定めに従ったものであるとしても,本件各処分が右のとおりの性質を有するものであった以上,上告人は,・・・・・・当然そのことに相応の考慮を払う必要があった」としている(最判平8.3.8 憲法百選I〔第7版〕41事件)。同判決によれば,信仰上の理由から剣道実技の履修を拒否した高等専門学校の生徒に対して学校長が行った原級留置処分及び退学処分は,生徒の信教の自由を直接的に制約するものではない。よって,本記述は誤りである。参考芦部(憲法)163~164頁。
渡辺ほか(憲法I)180~181頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,Aは,Bとの間で,真実その所有する動産を売却する意思がないのに,Bにその動産を売却し,その代金をBがCに支払う旨の契約を締結したが,BがAの真意を知っていた場合,受益の意思表示をしたCがAの真意につき善意無過失であっても,Bは,Cに対して売買契約の無効を主張することができる。民法この問題の模試受験生正解率 31.3%結果正解解説諾約者は,第三者のためにする契約に基づく「抗弁」をもって,受益者に対抗することができる(民法539条)。この「抗弁」には,同時履行の抗弁権のほか,契約の無効,取消し,解除の効果を主張することも含まれる。また,無効又は取消しを主張する場合,第三者のためにする契約における受益者は善意の第三者(同93条2項,94条2項,95条4項,96条3項)として保護されることはない。本記述の場合,Aの売却の意思表示は,心裡留保(同93条1項本文)に当たるが,BがAの真意を知っているためAB間の売買契約は無効となる(同項ただし書)。そして,この場合,意思表示をした者の真意を知らない第三者は同条2項により保護されるが,受益者であるCについては,同項の適用はない。そのため,Bは,AB間の売買契約の無効をCに対して主張することができる。よって,本記述は正しい。参考新基本法コメ(債権2)41頁。
論点体系判例民法(6)92頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,乙の同意を得て,差押えを受けている乙所有の自動車に放火してこれを燃やしたが, 公共の危険が生じなかった。この場合,甲には,建造物等以外放火罪は成立しない。刑法この問題の模試受験生正解率 80.9%結果正解解説他人が所有する自動車を放火する場合は,刑法110条1項の成立が問題となるところ,その者の同意がある場合には,財産権侵害がなく,自己所有物との均衡を考えて,同条2項が適用される。しかし,その物が差押えを受けている場合には,同115条より同110条1項の成立が再び問題となる。もっとも,建造物等以外放火罪(同条)は,他人所有・自己所有いずれの場合も,「よって公共の危険を生じさせた」場合にのみ処罰される。本記述では,公共の危険が生じなかった以上,同罪は成立しない。よって,本記述は正しい。参考西田(各)329~330頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)371~372頁。
条解刑法367~369頁。
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憲法天皇の国事行為は,憲法によって限定列挙されているから,法律によって,新たに国事行為を創設することはできない。憲法この問題の模試受験生正解率 74.5%結果正解解説天皇の国事行為は,憲法6条,7条が列挙するもの「のみ」(同4条1項)に限定される。したがって,法律によって新たに国事行為を創設することはできない。よって,本記述は正しい。
なお,国事行為の具体的内容は,同6条,7条に列挙されているが,同4条2項の国事行為の委任も国事行為の一つに数えられることがある。参考野中ほか(憲法I)123頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)90~91頁。
新井ほか(憲法I)66頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,.Aに代理権を与えたBは,AがCとの間でしたその代理権の範囲内の行為が,Aの詐欺を理由としてCにより取り消された場合であっても,Aの詐欺について善意無過失であるときは,Cに対し,その行為の効果が自己に帰属することを主張することができる。民法この問題の模試受験生正解率 87.8%結果正解解説判例は,代理人の詐欺によって相手方が意思表示をした場合,民法101条1項の適用を認めている(大判明39.3.31,大判昭7.3.5)。すなわち,代理人の詐欺は本人の詐欺と同視され,相手方は,本人が代理人の詐欺を知っているか否かにかかわらず,本人に対して詐欺による意思表示の取消しを対抗することができる。したがって,本記述において,Bは,代理人であるAの詐欺について善意無過失であっても,Cに対し,その行為の効果が自己に帰属することを主張することはできない。よって,本記述は誤りである。
なお,学説は,代理人は,本人が契約締結のために用いた者であり,同96条2項の「第三者」に含まれないとして同項の適用を排除することで,同条1項の原則どおり詐欺による取消しを可能として,判例と同じ結論を導いている。参考平野(総則)293~294頁。
リーガルクエスト(総則)196~197頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,Aが所有する絵画を手に入れたいと思い,乙に対し,Aから絵画を盗んでくれは高値で買ってやると申し向け,乙がAから盗んできた絵画を買い受けた。甲には,窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,これらは牽連犯となる。刑法この問題の模試受験生正解率 72.1%結果正解解説判例は,盗品等有償譲受け罪(刑法256条2項)と窃盗教唆罪(同61条1項,235条)とは,各別個独立の犯罪であるから,同一人が盗品を買い受ける目的をもって他人に対して窃盗を教唆し,その窃取してきた物を有償で譲り受けたときでも,窃盗教唆罪とは別に盗品等有償譲受け罪が成立するとしている(大判大5.6.15)。そして,この両罪の関係について,判例は,牽連犯(同54条1項後段)が成立するためには,「ある犯罪と他の犯罪との間に通常手段又は結果の関係があることが必要であって,被告人が主観的にある犯罪を他の犯罪の手段として行ったということだけでは足りない」とした上で,窃盗教唆と盗品有償譲受けとの間には通常手段又は結果の関係はないのであるから,被告人が盗品有償譲受けの手段として窃盗教唆を行ったものであっても,牽連犯に当たるものではなく,両者は併合罪の関係に立つとしている(最判昭25.11.10)。したがって,本記述において,甲には,窃盗教唆罪及び盗品等有償譲受け罪が成立し,これらは併合罪となる。よって,本記述は誤りである。参考西田(各)298頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)348頁。
大コメ(刑法・第3版)(13)751~752頁。
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憲法憲法第13条後段の保障する幸福追求権は,それ自体一つの権利としての性格を持つ個別的基本権を包括する基本権であるが,個別の権利条項が妥当しない場合に限り,補充的に同条後段が適用される。憲法この問題の模試受験生正解率 69.3%結果正解解説憲法13条後段は,幸福追求権について規定しており,かかる権利は,具体的権利性を有すると考えられている。そして,他の人権規定と同条後段との関係については,幸福追求権が個人の尊重にとって必要な権利を包括的に保障したものであることから,個別の権利条項と幸福追求権の保障とは,特別法と一般法の関係に立ち,前者の保障の及ばない範囲を同条後段がカバーするものとされている。よって,本記述は正しい。参考野中ほか(憲法I)271頁。
渋谷(憲法)179頁。
新・コンメ(憲法)151頁。 -
民法売買の目的物として買主に引き渡された物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において,その不適合が売主の責めに帰することができない事由によるものであれば,買主は,売主に対して,代金の減額を請求することはできない。民法この問題の模試受験生正解率 58.5%結果正解解説売買の目的物の種類,品質,数量に関する契約不適合における代金減額請求権(民法563条)の要件として,契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであることは要求されない。したがって,同条の要件を備える限り,売主の帰責事由の有無にかかわらず,代金減額請求をすることができる。よって,本記述は誤りである。参考潮見(新契約各論I)146頁。
新基本法コメ(債権2)126頁。
新・コンメ民法(財産法)963頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,乙が運転する自動車との接触事故により,全治3日間の軽傷を負ったが,乙から多額の賠償金を得ようと考え,行使の目的で,真正な市立病院丙医師作成名義の診断書から切り取った丙医師の署名及び押なつ部分を,甲が当該事故により全治1か月の傷害を負った旨の虚偽の事実を記入した診断書と題する書面の下方に接続させた上で,複写機を使用してこれをコピーし,あたかも真正な丙医師作成の診断書の写しであるかのような外観を呈する文書を作成した。この場合,甲には,有印公文書偽造罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 45.0%結果正解解説判例は,真正な供託金受領証から切り取った供託官の記名印及び公印押なつ部分を,虚偽の供託事実を記入した供託所用紙の下方に接続させてこれを電子複写機で複写する方法により作成された写真コピーの文書性が争われた事例において,「公文書偽造罪の客体となる文書は,これを原本たる公文書そのものに限る根拠はなく,たとえ原本の写であっても,原本と同一の意識内容を保有し,証明文書としてこれと同様の社会的機能と信用性を有するものと認められる限り,これに含まれる」とした上で,写真コピーは,原本と同様の機能と信用性を有し得ない場合を除き,公文書偽造罪の客体たり得るとしている(最判昭51.4.30 刑法百選Ⅱ〔第8版〕88事件)。また,同判決は,「原本の作成名義を不正に使用し,原本と異なる意識内容を作出して写真コピーを作成するがごときことは,もとより原本作成名義人の許容するところではなく,また,そもそも公文書の原本のない場合に,公務所または公務員作成名義を一定の意識内容とともに写真コピーの上に現出させ,あたかもその作成名義人が作成した公文書の原本の写真コピーであるかのような文書を作成することについては,右写真コピーに作成名義人と表示された者の許諾のあり得ないことは当然であって,行使の目的をもってするこのような写真コピーの作成は,その意味において,公務所または公務員の作成名義を冒用して,本来公務所または公務員の作るべき公文書を偽造したものにあたる」とし,さらに,写真コピーが有印であるか無印であるかについて,「作成名義人の印章,署名の有無についても,写真コピーの上に印章,署名が複写されている以上,これを写真コピーの保有する意識内容の場合と別異に解する理由はないから,原本作成名義人の印章,署名のある文書として公文書偽造罪の客体たりうるものと認めるのが相当である」としている。したがって,本記述では,甲には,有印公文書偽造罪が成立する。よって,本記述は正しい。参考西田(各)378頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)412~413頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,議員の当選の効力を定める手続において,選挙権のない者がした投票について,その投票が何人に対して行われたのかを取り調べることは,投票の秘密を侵害するものとはいえず,認められる。憲法この問題の模試受験生正解率 42.2%結果正解解説判例は,議員の当選の効力を決定する手続において,選挙権のない者の投票及び正当な選挙人でない者が選挙人の名で行ったいわゆる代理投票が何人に対して行われたのかを調べることが秘密選挙との関係で許されるかが争われた事例において,「選挙権のない者又はいわゆる代理投票をした者の投票についても,その投票が何人に対しなされたかは,議員の当選の効力を定める手続において,取り調べてはならない」としている(最判昭25.11.9 憲法百選Ⅱ〔第7版〕159事件)。よって,本記述は誤りである。
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民法判例の趣旨に照らした場合,AがBに300万円を貸すが,Aの気が向いたらBに請求し,請求を受けるとBは返済しなければならないという契約は無効である。民法この問題の模試受験生正解率 74.7%結果正解解説停止条件付法律行為は,その条件が単に債務者の意思のみに係るときは,無効とされる(民法134条)。同条は,債権者の意思のみに係る条件には適用はない。本記述の契約は,条件が債権者たるAの意思のみに係るので,同条の適用はなく,有効である。よって,本記述は誤りである。
なお,解除条件付法律行為においては,条件が債権者の意思のみに係る場合はもちろん,債務者の意思のみに係る場合も,当該法律行為は有効であると解されている。参考四宮・能見(総則)401~402頁。
リーガルクエスト(総則)267頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,わいせつの目的をもって未成年者を誘拐した場合,未成年者誘拐罪は成立せず,わいせつ目的誘拐罪のみが成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 56.7%結果正解解説判例は,刑法225条所定の目的をもって未成年者を誘拐したときは,同条の罪のみが成立するとしている(大判明44.12.8)。よって,本記述は正しい。参考山口(各)94頁。
条解刑法208頁,680頁。
大コメ(刑法・第3版)⑾539頁。
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憲法最高裁判所の判例の趣旨に照らすと,喫煙の自由が憲法第13条の保障する基本的人権の一つに含まれるとしても,未決拘禁者は,刑事施設という営造物を利用する関係において,特別の法律上の原因に基づく,一般の統治関係とは異なる特別権力関係に属し,国家は未決拘禁者を包括的に支配することができるため,未決拘禁者について喫煙の自由を一般に認めないのはやむを得ない措置というべきである。憲法この問題の模試受験生正解率 55.5%結果正解解説判例は,刑事施設の被収容者の喫煙を禁止した旧監獄法施行規則の合憲性が争われた事例において,「未決勾留は,刑事訴訟法に基づき,逃走または罪証隠滅の防止を目的として,被疑者または被告人の居住を監獄内に限定するものであるところ,監獄内においては,多数の被拘禁者を収容し,これを集団として管理するにあたり,その秩序を維持し,正常な状態を保持するよう配慮する必要がある。このためには,被拘禁者の身体の自由を拘束するだけでなく,右の目的に照らし,必要な限度において,被拘禁者のその他の自由に対し,合理的制限を加えることもやむをえないところである」とした上で,未決拘禁者の喫煙の自由を認めることは,通謀とそれに伴う罪証隠滅のおそれ及び火災発生による被拘禁者の逃走のおそれを生じさせること,煙草が嗜好品にすぎず,喫煙の禁止が人体に直接障害を与えるものではないことからすれば,喫煙の自由は憲法13条の保障する基本的人権の一に含まれるとしても,あらゆる時,所において保障されなければならないものではないこと等を総合考察すると,「喫煙禁止という程度の自由の制限は,必要かつ合理的なものであると解するのが相当であり,(旧)監獄法施行規則96条中未決勾留により拘禁された者に対し喫煙を禁止する規定が憲法13条に違反するものといえない」としている(最大判昭45.9.16 憲法百選Ⅰ〔第7版〕A4事件)。したがって,同判決は,在監関係には特別権力関係が成立し,特別権力関係の下では,国家が未決拘禁者を包括的に支配することができるため,未決拘禁者の喫煙を禁止することも許されると判断しているわけではない。よって,本記述は誤りである。
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民法債務者の交替による更改は,債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができるが,更改前の債務者が承諾をしなければその効力を生じない。民法この問題の模試受験生正解率 35.0%結果正解解説債務者の交替による更改は,債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができ,この場合において,更改は,債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に,その効力を生ずる(民法514条1項)。したがって,債権者と更改後に債務者となる者は,更改前の債務者の意思に反しても,債務者の交替による更改をすることができるのであって,その承諾は要しない。よって,本記述は誤りである。参考内田Ⅲ119~120頁。
潮見(新債権総論Ⅱ)334~335頁。
中田(債総)493頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,秘密漏示罪の「秘密」にいわゆる公知の事実は含まれない。刑法この問題の模試受験生正解率 90.3%結果正解解説秘密漏示罪(刑法134条)における「秘密」は,少数者にしか知られていない事実で,他人に知られることが本人の不利益となるものである。いわゆる公知の事実は秘密たり得ない。よって,本記述は正しい。参考西田(各)119頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)97頁。
条解刑法417頁。
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解答
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憲法判例によれば,憲法第81条の規定は,最高裁判所が違憲審査権を有する終審裁判所であることを明らかにした規定であって,下級裁判所が違憲審査権を有することを否定する趣旨ではなく,下級裁判所も違憲審査権を行使し得る。憲法この問題の模試受験生正解率 91.4%結果正解解説判例は,「憲法は国の最高法規であってその条規に反する法律命令等はその効力を有せず,裁判官は憲法及び法律に拘束せられ,また憲法を尊重し擁護する義務を負うことは憲法の明定するところである」から,「裁判官が,具体的訴訟事件に法令を適用して裁判するに当り,その法令が憲法に適合するか否かを判断することは,憲法によって裁判官に課せられた職務と職権であって,このことは最高裁判所の裁判官であると下級裁判所の裁判官であることを問わない。憲法81条は,最高裁判所が違憲審査権を有する終審裁判所であることを明らかにした規定であって,下級裁判所が違憲審査権を有することを否定する趣旨をもっているものではない」としている(最大判昭25.2.1 憲法百選Ⅱ〔第4版〕200事件)。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)396頁。
佐藤幸(日本国憲法論)675頁。
野中ほか(憲法Ⅱ)277頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,Aの所有する甲土地にAのBに対する債務を担保するために抵当権が設定され,その旨の登記がされていたが,Cの申請によりその登記が不法に抹消された場合であっても,抵当権の対抗力は失われない。民法この問題の模試受験生正解率 50.0%結果正解解説判例は,有効になされた抵当権設定登記が第三者の申請によって不法に抹消された事例において,「登記は物権の対抗力発生の要件であって,この対抗力は法律上消滅事由の発生しないかぎり消滅するものではないと解すべきである」から,「抵当権設定登記が抵当権者不知の間に不法に抹消された場合には,抵当権者は対抗力を喪失するものでない」としている(最判昭36.6.16)。よって,本記述は正しい。参考佐久間(物権)122頁。
リーガルクエスト(物権)85頁。
論点体系判例民法(2)60~61頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,客を集めて有料でわいせつな映画を観覧させて利益を得る目的で,自宅付近の人通りの多い路上で,通行人に声を掛け,これに応じた5名の客に対し,外部との交通を厳重に遮断した自宅の一室においてわいせつな映画を観覧させて利益を得た。この場合,甲には,わいせつ物公然陳列罪は成立しない。刑法この問題の模試受験生正解率 54.7%結果正解解説わいせつ物公然陳列罪(刑法175条1項前段)の「公然と」とは,不特定又は多数の者が認識することができる状態をいう。判例は,わいせつな映画を上映した部屋が,外部との交通が遮断されていて,観客も5名程度に限られていても,その5名が不特定多数人を勧誘して集められた者であれば,結果としてわいせつな映画を不特定の者に観覧可能な状態にしたといえるとした原審の判断を是認している(最決昭33.9.5)。したがって,甲には,わいせつ物公然陳列罪が成立する。よって,本記述は誤りである。参考山口(各)512頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)455頁。
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解答
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憲法判例によれば,憲法第32条は,国民が憲法又は法律によって定められた裁判所以外の機関によって裁判をされることはないことを保障するのみならず,訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利についても保障するものである。憲法この問題の模試受験生正解率 50.5%結果正解解説判例は,管轄違いの裁判所によって言い渡された判決が原審によって是認されたため,被告人等が憲法32条の保障する正当な裁判所で裁判を受ける権利を侵害されたと主張した事例において,「憲法第32条は,何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪はれないと規定しているが,同条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し,裁判所以外の機関によって裁判をされることはないことを保障したものであって,訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利を保障したものではない」としている(最大判昭24.3.23 憲法百選Ⅱ〔第4版〕131事件)。よって,本記述は誤りである。参考野中ほか(憲法Ⅰ)550頁。
新基本法コメ(憲法)262頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,法人は,受遺者となることができる。民法この問題の模試受験生正解率 84.2%結果正解解説夫婦,親子,兄弟姉妹といった身分を前提とする相続については,法人に認めることはできないが,法人が遺贈を受けることは可能であると解されている。よって,本記述は正しい。参考平野(総則)79頁。
新注釈民法(1)729頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,自己が所有する不動産について,Aを権利者とする抵当権を設定したが,その抵当権設定登記が完了する前に,同不動産について,Bを権利者とする抵当権を設定し,その抵当権設定登記を完了した。この場合,甲には,横領罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 35.2%結果正解解説横領罪(刑法252条1項)は,「自己の占有する他人の物」を客体として,それを「横領した」場合に成立する。本記述において,甲は,当該不動産の所有者であって,他人の物の占有者ではないから,同罪が成立することはない。したがって,甲には,横領罪は成立しない。よって,本記述は誤りである。
なお,判例は,本記述と同様の事例において,本来2番抵当権者となるべき者に1番抵当権を設定してその登記をした行為は,本来1番抵当権者となるべき者に対する背任罪(同247条)を構成するとしている(最判昭31.12.7 刑法百選Ⅱ〔第8版〕70事件)。参考西田(各)219頁,256頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)280頁,324頁。
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憲法判例によれば,公職選挙における立候補の自由は,憲法第15条第1項の保障する重要な基本的人権の一つであるから,労働組合が,公職選挙における統一候補を決定し,組合を挙げて,その選挙運動を推進している場合であっても,組合の方針に反して立候補をしようとしている組合員に対し,立候補を思いとどまるよう,勧告又は説得することは許されない。憲法この問題の模試受験生正解率 58.1%結果正解解説判例は,労働組合が市議会議員選挙に向けて統一候補を決定したところ,その決定に反して当該選挙に立候補した組合員を,当該労働組合の執行部役員が統制違反者として権利停止処分にしたことなどが公職選挙法違反に当たるとして起訴された事例において,「憲法28条による労働者の団結権保障の効果として,労働組合は,その目的を達成するために必要であり,かつ,合理的な範囲内において,その組合員に対する統制権を有」するが,この「労働組合が行使し得べき組合員に対する統制権には,当然,一定の限界が存するものといわなければならない。殊に,公職選挙における立候補の自由は,憲法15条1項の趣旨に照らし,基本的人権の一つとして,憲法の保障する重要な権利であるから,これに対する制約は,特に慎重でなければならず,組合の団結を維持するための統制権の行使に基づく制約であっても,その必要性と立候補の自由の重要性とを比較衡量して,その許否を決すべきであ」るとした上で,「統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し,組合が所期の目的を達成するために,立候補を思いとどまるよう,勧告または説得をすることは,組合としても,当然なし得るところである。しかし,当該組合員に対し,勧告または説得の域を超え,立候補を取りやめることを要求し,これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分するがごときは,組合の統制権の限界を超えるものとして,違法といわなければならない」としている(最大判昭43.12.4 三井美唄労組事件 憲法百選Ⅱ〔第7版〕144事件)。したがって,労働組合は,組合の方針に反して立候補をしようとしている組合員に対し,立候補を思いとどまるよう,勧告又は説得することは許される。よって,本記述は誤りである。
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民法判例の趣旨に照らした場合,下請会社の労働者が,元請会社の作業現場で事故に遭った場合,元請会社と下請会社の労働者との間には直接の契約関係がない以上,元請会社が当該事故について,債務不履行責任を負うことはない。民法この問題の模試受験生正解率 60.8%結果正解解説元請会社の労働者が,事故に遭った場合,元請会社が安全配慮義務違反による債務不履行責任を負う。これに対して,下請会社の労働者が,元請会社の作業現場で事故に遭った場合には,元請会社と下請会社の労働者との間には契約関係がないため,契約の効果として給付義務たる安全配慮義務が導かれるのであれば,債務不履行責任は認められないことになる。しかし,判例は,下請企業に雇用された社外工として元請企業の経営する造船所において勤務してきた者に対する元請企業の安全配慮義務の有無が争われた事例において,下請企業の労働者が元請企業の造船所で労務の提供をするに当たっては,元請企業の管理する設備,工具等を用い,事実上元請企業の指揮,監督を受けて稼働し,その作業内容も元請企業の従業員であるいわゆる本工とほとんど同じであったというのであり,このような事実関係の下においては,元請企業は,「下請企業の労働者との間に特別な社会的接触の関係に入ったもので,信義則上,右労働者に対し安全配慮義務を負う」としている(最判平3.4.11 民法百選Ⅱ〔第4版〕4事件)。したがって,元請会社と下請会社の労働者との間には直接の契約関係がない場合であっても,元請会社が事故について,債務不履行責任を負うことがある。よって,本記述は誤りである。参考内田Ⅲ152頁。
中田(債総)138~139頁。
平野(債総)105頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,甲は,Vを眠らせてVの財布から現金を抜き取るつもりで,コーヒ-の入ったコップに一時的に意識喪失を生じさせるのに十分な量の睡眠薬を入れて,Vに飲むようすすめたが,Vは,これを飲まなかった。この場合,甲には昏酔強盗罪の実行の着手が認められる。刑法この問題の模試受験生正解率 64.6%結果正解解説昏酔強盗罪(刑法239条)における「昏酔させる」とは,一時的又は継続的に相手方に意識喪失その他意識又は運動機能の障害を生じさせて,財物に対する有効な支配を及ぼし得ない状態に陥らせることをいう。そして,財物を盗取する目的で相手方を昏酔させる行為を開始した時点で実行の着手が認められる。本記述では,甲は,Vを眠らせてVの財布から現金を抜き取るつもりで,コーヒ-の入ったコップに一時的に意識喪失を生じさせるのに十分な量の睡眠薬を入れて,Vに飲むようすすめており,その時点で昏酔強盗罪の実行の着手が認められる。よって,本記述は正しい。参考条解刑法768~769頁。
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憲法大日本帝国憲法には,平等原則に関する一般的な定めはなく,ただ公務就任資格に関する平等の規定が置かれているにすぎなかった。憲法この問題の模試受験生正解率 32.9%結果正解解説大日本帝国憲法は,平等原則に関する一般的な規定は置かず,公務就任資格に関する個別の規定しか置いていなかった(同19条)。他方,日本国憲法では,同14条1項により,平等原則に関する一般的な規定を置いている。よって,本記述は正しい。参考芦部(憲法)130~131頁。
野中ほか(憲法Ⅰ)281頁。 -
民法判例の趣旨に照らした場合,賭博によって生じた債務の履行のために振り出された小切手の支払に関する和解は,無効である。民法この問題の模試受験生正解率 86.3%結果正解解説判例は,賭博によって生じた債務の履行のために交付された小切手の支払について和解がされた事例において,賭博に勝った者が賭博に負けた者に対して小切手金の支払を求めることは,公序良俗に違反するものとして許されないというべきであり,その支払についてされた和解上の金銭支払の約束も,実質上,その金額の限度で賭博に勝った者をして賭博による金銭給付を得させることを目的とするものであることが明らかであるから,同じく,公序良俗に違反するものとして,無効とされなければならないとしている(最判昭46.4.9 手形小切手百選〔第7版〕88事件)。よって,本記述は正しい。参考潮見(新契約各論Ⅱ)478頁。
中田(契約)601頁。 -
刑法判例の立場に従って検討した場合,他人の事務処理の用に供する権利義務に関する電磁的記録を不正に作った場合,目的のいかんにかかわらず,電磁的記録不正作出罪が成立する。刑法この問題の模試受験生正解率 69.1%結果正解解説人の事務処理を誤らせる目的で,その事務処理の用に供する権利,義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った場合,電磁的記録不正作出罪(刑法161条の2第1項)が成立する。したがって,上記の目的がない場合には同罪は成立しない。よって,本記述は誤りである。参考西田(各)404頁。
大塚ほか(基本刑法Ⅱ)411頁。
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憲法内閣は,行政権の行使について国会に対して連帯して責任を負うが,この連帯責任は,個々の国務大臣の責任を否定するものではないから,衆議院において,国務大臣に対する不信任決議が可決された場合には,当該国務大臣は辞職すべき法的義務を負う。憲法この問題の模試受験生正解率 70.2%結果正解解説内閣は行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負う(憲法66条3項)。内閣が内閣総理大臣の下に一体となって政治を行う原則から,内閣が負う責任も一体として負うこととされているが,国務大臣の単独責任を否定する趣旨ではないとされている。そのため,個々の国務大臣が,その所管事項に関して違法又は不当な行為をした場合などに,国会が当該国務大臣の責任を問うことは,憲法上否定されない。もっとも,国務大臣に対する衆議院の不信任決議については憲法に規定がないため,衆議院において当該国務大臣に対する不信任決議が可決されたとしても,法的効果は生じない。したがって,衆議院において不信任決議が可決されても,当該国務大臣は辞職すべき法的義務を負わない。よって,本記述は誤りである。参考芦部(憲法)339~340頁。
佐藤幸(日本国憲法論)549~550頁。
渡辺ほか(憲法Ⅱ)280頁。 -
民法