在学中受験制度とは
従来は法科大学院課程を修了することが司法試験受験資格要件の1つでしたが、2023年(令和5年)より
「法科大学院在学中」でも司法試験に受験できるようになりました。ただし、「法科大学院在学中」に受験する場合は、ある一定の要件をみたす必要があります。
【法科大学院在学中に受験する場合】
- 所定の科目単位を修得すること
- 1年以内に法科大学院課程を修了する見込みであること
在学中受験生が感じた、学校と試験対策の両立
2023年度合格
早稲田大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
私は、在学中受験制度の第一期生ということになりますが、
法科大学院のカリキュラムと司法試験対策の勉強の両立は、かなり大変なものでした。授業がある期間は、授業後の夕方頃から司法試験対策の勉強をしていました。法科大学院の授業の予習復習や定期試験対策もあるため、特に
既修コースの1年目はハードなスケジュールになりやすいかと思います。
法科大学院入学時からの大まかなスケジュール
入学した4月から10月まで
2023年度合格
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
私は、圧倒的に知識不足を感じていたので、この時期は
徹底してインプットに励んでいました。基本的には
法科大学院の講義で出る課題を中心に行い、
わからない部分があれば基本書に戻って調べるようにしました。
11月から4月まで
2023年度合格
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
この時期は
インプット期の知識の定着を図るため、
旧司法試験の過去問等が掲載された問題集に取り組みました。同時に解説等を見ながら
論証の正確性を修正していきました。過去問を解く際は答案構成を15分で行い、問題の所在、規範、規範を導く理由、あてはめのポイント等が誤っていないかをチェックしました。
また、この時期には
TKCの「短答式過去問題演習トレーニング」を利用して短答式試験対策も行いました。
TKC「短答式過去問演習トレーニング」とは
司法試験短答式試験の
過去問題が演習できる、「
法科大学院修了生サポートシステム」のサービスの1つで、
科目ごと、
年度ごとに司法試験本番と同じ形式で出題されるので本番を想定して演習することができます。
短答式過去問題演習トレーニングとは 特長を確認する
法科大学院での授業の受け方
2023年度合格
東京大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
法科大学院での
授業のための予習を優先的に行いました。また、司法試験等に直接関係のない科目についても取り組みました。予習はおおよそ
当該科目の前日、もしくは当日に行っていました。1科目にかかる時間は科目にもよりますが、
2、3時間程度要しました。司法試験等に向けた学修は、予習後に行っていました。
両立しながら、"短い時間"で効果を上げるために
1目的意識を持つ
2023年度合格
法政大学法科大学院・既修 2023年修了
受験勉強で気を付けた方がよいのは、何も考えず「
とりあえず」授業を聞く、「
とりあえず」予備校の講義を聞く、「
とりあえず」基本書を読むといったように、目的意識がないまま
「とりあえず」という姿勢で取り組んでいる場合です。勉強する際に目的意識を持っているかどうかで、身につき方が違うと思います。自覚しにくいかもしれませんが、
今取り組んでいる勉強がなぜ必要なのか、
どういった効果が見込めるか、
いつまでに終わらせるかという見立てと計画が立っているか、一度確認してみるとよいかと思います。
2音声ファイルで暗記する
2023年度合格
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
フリーの音声読み上げソフトを使って
論証を読み上げさせた音声ファイルを作成し、移動時間等のスキマ時間はひたすらそれを聞いていました。これにより、
論証のキーワードを自然と覚えることができるようになりました。また、聞いていて意味が分からなければ、それはまだ理解できていないということになるため、理解の有無のチェックにも役立ちました。
3移動中でも勉強できるツールを活用する
2023年度合格
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
短答式試験対策として活用したTKCの「
短答式過去問演習トレーニング」は、移動時間中に
スマートフォンでも問題の解答と解説をスムーズに読むことができました。加えて、
解説も充実しています。権威のある学術書や基本書などを引用しているので、どうしても理解できない場合は引用元にあたることで、より理解を深めることができました。
大事なことは、”取捨選択”すること
2023年度合格
名古屋大学法科大学院・既修 2024年修了(在学中受験)
ハードなスケジュールな中、試験対策において大事なことは
取捨選択です。私は、既修コース3年次になる前の春休み(2月頃)から過去問を解き始めましたが、
もっと早くに手を付けておけばよかったと後悔しています。これを読んでいる受験生の中にも基礎的な知識を問題集などで身に付けてから過去問に取り組むべきと考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし、特に
在学中受験をされる方には時間がありません。まずは
過去問を解くことを優先し、
自分にとって足りないと思う部分を基本書や問題集で補完していくことをおすすめします。
【論文】「試験時間が足りなかった」と後悔しないために
時間配分ミスを解決する2つの勉強対策