論文式試験の試験科目
司法試験の論文式試験の試験科目は、①憲法や行政法に関する
公法系科目、②民法や商法、民事訴訟法に関する
民事系科目、③刑法や刑事訴訟法に関する
刑事系科目、④選択科目の4科目で行われ、④選択科目は
8科目(
倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係(公法・私法))の中から
1科目選択する必要があります。まずは、
令和4年度合格者(1,403人)の選択科目の合格者数等を確認しておきましょう。
【令和4年度:選択科目の合格者数と割合】
選択科目名 |
合格人数 |
合格割合 |
倒産法 |
207人 |
14.75% |
租税法 |
78人 |
5.56% |
経済法 |
276人 |
19.67% |
知的財産法 |
219人 |
15.61% |
労働法 |
435人 |
31.00% |
環境法 |
41人 |
2.92% |
国際関係法〔公法系〕 |
18人 |
1.28% |
国際関係法〔私法系〕 |
129人 |
9.19% |
選択科目と使用する参考書の選び方
2019年度合格
予備試験合格
私は、
選択科目を選ぶ時点で迷いました。どの科目も今までに全く学習したことがなかったですが、これまでほぼ独学で学んできた私にとっては、
参考書類がある程度充実していること、そして何より
実務に行ってからの有用性を考えて
労働法を選択し、年内のうちに早速
基本書1冊と「
判例百選」、そして
解答例のような解説がついた演習書をそれぞれ1冊購入し、やや強引ですがこれらを同時並行して進めて行きました。
【(例)選択科目の選び方】
- 参考書類がある程度充実している
- 実務に行ってからの有用性
参考書等が充実していない選択科目を選んだ場合
2021年度合格
大阪大学法科大学院・既修 2021年修了
私は選択科目として
国際公法を選びましたが、比較的マイナーな科目だったため、
解説や参考答案が充実しているTKCの「
論文演習セミナー」を活用することを考え、これが大いに役立ちました。参考答案をよく読み込み、大体の答案構成ができるようになれば、自然と答案を書くことへの苦手意識もなくなっていくと思います。
「論文演習セミナー」とは
「論文演習セミナー」とは、「
TKC法科大学院修了生サポートシステム」で利用できる論文対策のための演習システムです。司法試験の
過去問題をはじめ、
解説・解答例、参考文献などの必要な情報をまとめて確認できるので、集中して勉強に取り組めます。
「論文演習セミナー」とは 「論文演習セミナー」の特長を確認する
選択科目の進め方
2019年度合格
予備試験合格
しっかり知識を入れてじっくり考えながら演習に取り掛かる時間的な余裕もなかったため、あまりお勧めはできないかもしれませんが、私は
過去問とともに演習書を中心に据えて、
最初から解説に先に目を通し、問題ごとに
形式や書くべき内容をおさえてから、適宜これらを
基本書や判例百選で確認するといった方法で学習していました。
基本7科目とのバランスも考える
- 対策を進める順番を工夫する
- 過去問演習・分析の年数を工夫する
1対策を進める順番を工夫する
2021年度合格
京都大学法科大学院・既修 2021年修了
司法試験の過去問の検討をしながら、法科大学院の授業の復習や基本書の読み込みなどによって知識不足や理解不足を補っていました。具体的には、
範囲が広い民事系や勉強不足だった選択科目の対策から始めて、
比較的差がつきにくいと思われる公法系、
直前期でも伸びしろがありそうな刑事系という順で対策をしていきました。
2過去問演習・分析の年数を工夫する
2021年度合格
東京大学法科大学院・既修 2021年修了
選択科目については、相対的に演習量が少ないため、新司法試験
全ての過去問を演習・分析しましたが、
基本7科目については、むやみに演習量をこなせばよいというのではなく、演習は
傾向を掴むために必要な年数に留めつつ、
実施年度の自己分析を徹底させて、自身の欠点の解析に注力することをお勧めします。
演習を怠った場合の司法試験への影響
2021年度合格
南山大学法科大学院・未修 2019年修了
私はまだ
知識が完璧ではないからと、答案作成をすることを極端に嫌い、令和元年の司法試験ではほとんどアウトプットをせずに臨み、令和2年ではアウトプットの重要性に気付くも間に合わず、結局2回とも
論文式試験で合格圏内に入ることはできませんでした。そして特筆すべき弱点としては、令和2年の司法試験では
選択科目の知的財産法で30点しか得点できていなかったことです。
選択科目への対策も怠らない
2021年度合格
南山大学法科大学院・未修 2019年修了
私は
知識不足のために他の受験者が難なく解答できている点を落としてしまっていると考え、
最新の基本書を通読することから始め、それからアウトプットを始めました。そのおかげで、今年は
受験者の中で5割程度の位置につけられたため、令和2年のように大きく足を引っ張ることにはなりませんでした。
【論文】国際公法を選択科目に
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